一昨日の、ブルームバーグクイントの記事です。

Operational Creditors Recover 42% Of Claims Under IBC, Says ICRA
(破産法における事業債権者の回収率は42%:
ICRA調査)

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格付け機関のICRAというところが、今年3月時点でのインド破産法のレポートを出しているそうで、その内容が報じられています。

・事業債権者の債権のカット率は58%(回収率42%)
・金融債権者の回収率は44%
・両者はほぼ一致している

というのが記事の中心です。

インド破産法では、債権者が上記二つのカテゴリーに分けられており、手続上の扱いが異なります。
手続開始後は、イメージとして、債務者の再建計画案(各債権者への配当案を含む)の採否が債権者委員会で検討されることになりますが、債権者委員会を構成するのは基本的に金融債権者だけです。また、再建計画が採用されず会社が清算されることになった場合の清算配当でも、事業債権者は金融債権者に配当順序で大きく劣後します。

そういう制度設計なので、事業債権者の回収率は金融債権者のそれより低いのでは‥(金融債権者は事業債権者への配当配分をないがしろにするのでは‥)という懸念も、生じて然るべしと思われますが、現実にはそうはなっていなかった、ということのようです。

その理由としては、再建計画を提出する者(債務者の事業を買いたい者)は、事業債権者(取引先)と良い関係を維持することがその後の事業継続において重要だと認識するため、事業債権者への配当も確保した再建計画案を提出するから、ということのようです。


インド破産法を債権回収手段として活用することの是非」という投稿をしたのはもう約2年前ですが、今週、来日したインド人弁護士から話を聞いたところでも、未だにそのような実態はあるし、且つ彼らも在インド日本企業からそのような依頼を受けているとのことでした。

先の投稿で検討したのは、「破産手続開始のプレッシャーの元に任意での支払いを促す」という意図での使い方のことでしたが、実際、手続が始まってしまった場合でも、約半分の回収はできるようだ‥、ということで、事業債権者による手続利用は、ますます進むのではないかとも思われます。


なお、同レポートではその他にも、申立てが誰によりなされたかの比率、再建計画の承認率、手続の期間制限が遵守されているかの状況、などについてのデータもあるそうです。レポート自体を読んでみようと思います。

今日の投稿は以上です。


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 写真はチェンナイ高裁です。



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【使いたいと思った英語表現11】     

The rateing agency said haircuts for operational creditors are in line with finaicial creditors.

「格付け機関によれば、事業債権者の債権カット率は金融債権者のそれと一致している。」  

(上記記事より。in line withはよく見る。in line with a guideline(ガイドラインに沿って)という類が多いが、〜に従って、というよりは、一直線上にあって一致している、というイメージのようだ。)  



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