image

 世界で最も発行部数の多い英字新聞と言われているのが、インドのTHE TIMES OF INDIA(TOI: ザ・タイムズ オブ インディア)です。


 日本と同様、インドでも新聞は家まで配達してもらうのが普通のことのようで、私の家では別の新聞をとっているのですが、TOIはホテルや空港、サブウェイなどのファーストフード店など、至るところで備えられています。
 今週は、マクドナルドに行った時に発見しました。

 後述のとおり、私は「新聞」については読むものをもうかなり絞っており、TOIには普段は手を出していませんが、せっかく見つけたので、この日、マックでコーヒーとソフトクリーム(合計約100円)を楽しみながら、10分くらいでと思いながら「新聞クリッピング」をしてみました。


 こちら↓が、今週金曜日の1面です。

2017-12-15-20-20-04
 
 1面に掲載されているトピックの数は、日本の新聞以上、というイメージですが。
 自分は、インドの法制度や規制の実状を調べるのが仕事なので、新聞もそういう観点から話題をピックアップしています。

 そうすると、この日の一面ではまず、中央右側の「Aadhaar」に反応することになります。
 Aadhaarとは、以前のプライバシー権に関する投稿でもご紹介した、インドのID(個人識別)システムです。
 銀行口座、携帯電話番号など、あらゆる情報をAadhaarにひも付けようという政府による規制は、プライバシー権の観点から現在最高裁でその有効性が争われているものの、他方で、各種通達等が各省庁から発表され続けてもいるので、報道をチェックしての現状把握は欠かせません。(この1面の内容の説明はここでは割愛します。)


 一方、トップの記事は、その単語から選挙のことのようなので、まあいいかと考えて、確認は見出しだけにとどめます。
 Exit pollは、通常は「出口調査」ですが、ここでは、来たる選挙の結果を予測する、事前調査を意味しているようです。
 また、BJPとは、日本語では通常「インド人民党」と訳される、モディ首相率いるインドの現在の政権与党です。
 それに対し、Congは、2014年のモディ政権誕生前は与党だった、また1947年のインド独立当時も与党だった、通常「インド国民会議」と訳される政党です。
 BJP rout Congで「BJPがCongに圧勝」ということですね。retainも新聞頻出単語で、continue to haveのイメージです。BJP to retain Gujaratで、グジャラート州での議席を維持、という意味になるかと思います。そういう予想になっているようです。


2017-12-15-19-36-13

 続いて、わたし的にはLawyersの文字を含む記事にも反応し、ただこれは一面から続きがあって長そうなので、これは後でネットで読もうと、写真を撮るにとどめます。

 そして、このくらいかなと思ったら、Lawyersの横に、Japanese touristの文字を見つけ、ちょっと驚いて読み始めます。
 druggedは薬を飲まされて、lootedは盗まれて、ですから、いわゆる昏睡強盗の被害の記事ですね。。
 気になるので読み進めると、ガンジス川観光で有名なVaranasi(日本語ではバラナシ・またはベナレス)で観光ガイドを名乗る男と行動を共にした日本人の方が、すすめられたドリンクを飲んで被害に遭った、という内容の記事でした。

 いい奴ばかりじゃないけど悪い奴ばかりでもない‥というよりは、インド人はだいたいいい奴、というのが、私のこれまでの実感ではありますが、それでも、相手の方から近寄ってきたインド人(特に日本語が話せる人)には警戒する必要があると、特にひとり旅をする場合は、(インドに限ったことでないでしょうが)やはり、心に抱いておかないといけないのでしょう。

2017-12-15-19-37-54

 
 なお‥、どうでもいい話ではありますが、このJapanese touristの記事を読む時間が、今の私で約30秒です。これでもだいぶ、早くなりました。
 1年前、2年前の自分を思うと、習慣化した時間の積み重ねだけが力になる(何歳からでも)、ということを再認識します。
 ちなみにAgraはタージマハルのある都市であることももちろんわかりますし笑、busもインドで散々乗ったので、情景も思い浮かびます。。


................................................

 さて、1面はこれくらいで、せっかくなのでパラパラと全ページに目を通すのですが、TOIは一般紙なので、日本の新聞の社会面のように、いろいろな事件報道も掲載されています。なので読み始めると本当にきりがないのですが、この日は、殺人事件について、イラストの説明付で報じられており、つい読み進めてしまいました。

2017-12-15-19-43-15

 愛人と一緒にいるところを見られて6歳の娘を殺害したという内容でした。。
 なお、記事も全部読みましたが、結果的には4つのイラストとその説明文だけ読めば概要がちゃんと理解できるようになっていました。
 4枚目のイラストの説明に、She cooks up a story of an occultist killing her. But eventually confesses to her crime(母親はオカルト信者が娘を殺したという話をでっち上げていたが最終的に犯行を認めた)とあり、cook upが話しをでっち上げる、occultistがオカルト信者など、英語について新しく単語も学びました。また、記事を全部読むことで、例えばインドでは警察が捜索活動にSNSを利用しているなど、周辺的情報も知ることができました。

 それにしても‥、記事によれば、女の子はお母さんと愛人を見て、お父さんに知らせにいこうとした、母親は黙っているように言ったが女の子は言うことを聞かなかった、だから殺害した、とされていたのですが、私の(日本人としての)感覚からすると、どうして母親はそんなことで殺害までするのか、という点はもちろん、6歳の女の子の行動も、ある意味どうしてそんなにしっかりしているのか、簡単には理解が及ぶものではありませんでした。
 インドの性風俗の話と同様、こういう時は、またインド人家族に食事の時にでも話題をふって、あるいは宗教的な考えに関係があったのか、など、この件についても意見を聞いてみたいと思っています。


2017-12-15-19-45-30

 などと思っていたら、その右隣にも、興味深い記事がありました↑。
 わたし的には、HCとみたら即内容チェックで、それはHCがHigh Court、つまり高等裁判所を意味するからです。

 この記事は、デリー高裁の判事が、逮捕手続について警察官を訓練する必要があると強調した、というもので、それも、(基本的に)逮捕には令状が必要で、その旨の警察官向けのガイドラインも存在するにもかかわらず、現実にはそうなっていない(著しい相違(stark contrast)がある)、という、なんとも恐ろしい内容でした。。
 小さな記事でしたが、偶然この記事に触れ、法の定める手続に違反して逮捕されたりすることのないよう、わたしもインドにおける逮捕の要件、必要な手続についてまとめる必要性を認識しました。

 なお、ちなみにこの記事で報じられている裁判も、酒の販売禁止についての投稿でご紹介した、いわゆる公益訴訟として提訴されたもののようです。またもや裁判所がいい役割を果たしそうな予感です。


image

 更に、読み進めていって、紙面も後半に入ると、様々なトピックについて識者の意見・インタビューをまとめたページになります。
 この部分も、テーマとしては興味深いものを目にすることが多い(ただ中身は一般論的なもので大したことなかったと思うことも多い)というのが私の個人的認識なのですが、この日は、「サンドイッチを売ろうにも2ダース以上のライセンスや許可が必要」というタイトルに惹かれて、この↑記事も読んでみました。


 すでにソフトクリームはとうに食べ終わってしまっており、だいぶ斜め読みでしたが笑、大事な話としては、見出しのことに関しては、レストラン業界というのは規模の大きな産業であるにもかかわらず、インドではこれを一手に管轄する省庁がなく、あちこちの行政をかけずり回らなければならない、という実態を指しているようでした。(この点については、「インドでのカラオケ」でご紹介した、具体的なライセンスの種類に関する投稿もご欄になってください。)

 なので、おそらくは、許可に関しても内容的に重複する審査があったりして、無駄が多いということでもあるように思われます。そういう問題意識を、この記事によって把握できたことはよかったです。
 
(ちなみに、この話者はインドのレストラン業界団体のトップの方のようですが、While it is perceived as being at loggerheads,
in reality, we are partaking in a meaningful dialogue(我々は(政府と)対立しているように見えるかも知れないけれど、実際には意味ある対話をしているんだ)という文があって、at loggerhead withが「〜と対立している」という意味であることなどもここで調べて学ぶとともに、使えそうなフレーズだから覚えておこうと思いました。)


image

 最後に、これは従前からフォローしているVoda(ボーダフォン社)とインド政府との税務紛争の記事を確認しました。(内容にはここでは言及しません。)
 ちなみに、SCはSupreme Courtの略で、最高裁判所のことです。

 これで、ようやく、全部のチェックが終了です。


.................................................................

 
 以上、10分くらいでざっと目を通そうと思ってはいたものの、経験上予測はしていたとおり笑、実際には倍以上の時間がかかりました。
 さらに、こうやって後日にブログにまとめるのも、予想以上の労力になりましたが笑笑。

 ただ、言いたいこととしましては、やっぱり新聞の情報量というのは、すごいものがあり、インドに関しても、新聞をくまなく読む、読み続けることが、現状を把握することのベースになる、ということです。

 タイムズオブインディアは、今ではもちろん、インターネットで、日本にいながらでも、読むことができます。
THE TIMES OF INDIA 
https://timesofindia.indiatimes.com



 他方、ここまでご説明してきたように、私も慣れてきたとは言え、日本の新聞を読むよりはまだまだ時間がかかりますし、殺人事件の記事だ‥などと次々食いついていると、時間がいくらあっても足りない、ということになります。
 また、これは私の個人的な趣味ですが、TOIのサイトはあまりに情報量が多くてごちゃごちゃし過ぎており、自分にとって必要な情報を見つけるのが、ちょっと難しい、とも思っています。


 なので、私は、THE TIMES OF INDIA、あるいは hindustan times(私の家ではこれが配達されている)などの他のメジャーな一般紙ではなく、毎日チェックするのは経済紙にしています。それもインターネットによってです。

 パソコンから、情報も整理されていて見やすくて、私がなんとか毎日チェックするようにしているのは、 hindustan times系の経済紙であるmintと、米ブルームバーグがインドで出資しているBloomberg quintの法律関係情報ページであるLaw and Policyです。


livemint
http://www.livemint.com

Bloomberg Quint Law and Policy
https://www.bloombergquint.com/law-and-policy


 そして、最近は、やはりスマートフォンで読むのが便利なので、毎朝の日課として、TOI系の経済紙、THE ECONOMIC TIMES(ET)を、アプリで読むようにしています。

 ETは、パソコンで見るとTOIと同様にごちゃごちゃ感を私は感じてしまうのですが、スマホ版だとそうでもなく、特に秀逸なのは、朝の時間帯にはMORNING BRIEFとして、数ある記事の中でも特に重要とETが選別した記事をまとめたページを作ってくれているところです。
 

image



 以上、長い投稿になりましたが、インドのビジネス情報を現地の英字新聞からとろう、(日本にいながらも)日々少しづつでも英字新聞を読み進めてみよう、と思われる方には、

①これだけ読もう!と習慣にしやすい、アプリのET

②レイアウトも美しくてとっつきやすいmint

③規制関係情報をしかも深堀りしていて学びの多いBloomberg


と、私が知る範囲で思っている、以上のツールがお勧めであると、ここに記しておきます次第です。


 ソフトバンク社や安倍首相のことなどをはじめ、日本のこともしばしば目にしますので、とっつき易いところもあるのではないかと思っています!